韓国超豪華旅行 ページ6


南大門

バスを走らせ、南大門に向かう。南大門という名前の由来は市街の南にあった門から来ているが、現在は庶民の市場として有名だ。バスを降りて歩いていく。都会の中、開発に取り残されたような店が路地の両側にどこまでも並ぶ。商店の軒先には所狭しと商品が並び、商店の間の路地には露天商が商品を並べる。焼いた鳥、ブタの頭、魚介類、漬物類、衣類、高麗人参、電化製品、薬、寝具、何もかもが無秩序に並び、その間を沢山の人が歩いていく。人がやっと通れるような細さの道にオートバイが突っ込んで来る。日本で言えば上野のアメ横といった感じだが、それよりも遥かに活気がある。いろいろな商品を安く売っているらしい。物には値段だけの価値があるものだ。安かろう、悪かろうでは良くないが、うまく利用すれば、安い買い物ができそうだ。

我々は松茸を買い込むことにした。軒先に松茸がずらりと並んでいる店がある。1kgで1万円という相場らしい。慣れた人が買い付ける。「おい、いくら負ける?」。いきなり7000円になった。「じゃ、いくつかもらおう、いくら負ける?」。結局、1kg6500円まで負けさせた。日本の相場は知らないが、松茸の量を見ると1kgとは相当な量だ。

市場は結構な広さがある。商店街のようにあちこちへと、道が続いている。有名な場所を案内してもらい、ぐるっと周ってバスの場所まで戻る。我々を降ろした後、時間を潰すために、どこかに行っていたはずのバスも戻ってきている。見れば、急いでバスに乗れと言っている。パトカーが来て、警笛を鳴らしている。我々は急いで乗り込み。その場所を後にした。なんとかセーフだ。駐車場もない場所なので、沢山の車が路上に停車しているのだ。

韓国の夕日

バスで夕食のレストランへと向かう。ソウルには大きな川が流れている。東京で言えば隅田川というところか。橋の上からとても美しい夕日が見える。ソウルは韓国の首都だ。日本で言えば東京だ。東京でこんな美しい夕日を見たことはない。ソウルの交通渋滞は東京以上に深刻だったりすることを考えれば不思議だ。空がこんなにきれいなのは、大陸性の気候の影響もあるのだろうか。

松茸三昧

レストランに到着した。夕食は韓国風のしゃぶしゃぶらしい。だが、その前に先程買い込んだ松茸をレストランで料理して食わせるという。わがまま言いたい放題だ。さて、韓国のレストランでは松茸の料理方法を知らないから大変だ。鉄板も出てきて、松茸も適当に割かれて皿に盛られてきたが、それからどうしたら良いかわからないのだ。「アルミホイルだ」と言えば、食用油(オイル)が出てくる。「酢醤油だ」と言えば、酢と醤油が別々の皿に入って出て来る。ウェイトレスは我々が鉄板の上で松茸を焼いているのを、不思議な光景でも見るような顔をして見ている。実は、韓国では松茸をほとんど食べない。だから、商店で売ってる松茸もほとんどは日本人観光客が目当てなのだろう。最近では、日本人が高値で買い付けるため、値段も吊り上っている。誰もそんな大金を払って松茸を食べようとは思わないのだ。松茸をそこまで珍重する日本人のほうが異常かも知れない。

さて、松茸も焼けてきた。鉄板の上は、てんこ盛りの松茸だらけだ。もう、それを見ているだけで笑えてしまう。こんな沢山の松茸は見たこともない。そして、韓国という異国の土地で、現地人の食べない茸を日本人が集まって、非常に貴重なものをいただくかのように、ありがたそうな顔をして、眺めているのだ。

よし、食べるとするか。うまい。さすがに松茸はうまい。まるで、普通の茸を食べるかのように、次から次へと口に放り込む。嗚呼、うまい。焼けた松茸の香ばしい香りが、なんも言えず良い。それでも、これは日本の文化なのだ。こんなにうまい茸を、朝鮮人は昔から食べてこなかったのだ。

松茸を堪能したら、いよいよ、しゃぶしゃぶだ。今度は鍋が出てきた。韓国風のしゃぶしゃぶは日本のように湯の中で肉を泳がすようなことはしない。肉も野菜もすべてを最初から放り込んでしまう。それ以外に特に変わった模様はない。白菜は入っていないようだ。日本では雨続きで白菜は高価になっている。韓国もそうなのだろうか。誰かが「白菜、白菜」と言う。身振り手振りでキムチの白菜を指差しながら、白菜も持ってこさせる。ここでも、また先程の松茸を山ほど入れる。肉と野菜の香りに、松茸の香りがブレンドされ、何とも言えず良い香りが辺りに漂う。煮え加減を見ながら、食べ始める。うまい。韓国のしゃぶしゃぶもなかなかのものだ。そうそう、松茸は煮てもうまかった。

我々が入ったのは広いレストランだ。修学旅行と見られる高校生達の団体が遠くの席に座りはじめた。これもまた、日本の高校生のようだ。引率の先生達も別席で、食べはじめた。なんで、高校生といっしょに食べないのだろうと思っていたら、ビールを飲みはじめた。なるほど、高校生といっしょではビールを飲むわけにはいかないだろうな。「勤務中なのに、ビールが飲めていいよなぁ」と誰かが言う。それもそうだな。

明洞

ホテルに戻り、夜の明洞に繰り出した。明洞は、夜でも賑やかな街だ。近代的なビルの間にネオンが並び、明るい照明の店が並ぶ。ビルの間には露天商も店を広げている。多くは偽ブランドのバッグ、ウォレットなどを売っている。韓国では偽ブランド品に対して、あまり厳しい取り締まりはないようだ。きちんと店舗を構えた店でも、どうどうと売っている。たまに警察も見回るそうだが、そういう時には、すかさず問題の無い商品に取り替えるのだという。外国人客相手に、そのような商品を売る人々も、暗黙のうちに認められているという雰囲気がある。豊かになった韓国で、今更に外貨獲得のためということもないだろうが、昔なら貴重な外貨獲得手段だったのかも知れない。ホットドッグ、唐辛子味の餅などのテイクアウト食品を売っている店もあり、若者達が食べながら歩いていく。

街を行く人々の表情は明るく、生き生きとしている。わたしは、街角に立ち、その場の人々の心を感じとってみた。悪くない。人々は、今、この一瞬を楽しんで生きている。誰かの視線を気にすることもなく、のびのびとしている。日本の都会で感じられるような、おどおどとした感情も、やるせない閉塞間も、他人を馬鹿にしたような感情も感じられない。人々の心はきれいで素朴だ。日本でも昔はこうだったかも知れない。我々は文明の発達とともに、貧困といっしょに、大切なものも過去に置き忘れてきてしまったのではないだろうか。韓国の人々の素朴な心を感じていると、そんなことを考えさせられてしまう。

ホテルに戻り、TVをつけるとコメディ番組をやっている。すべてハングル語だから、意味はわからないが、もう、ここまでくるとハングル語の響きが、心地よくなっている。この国に親近感が湧いてきたということなのかも知れない。


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